SECURITY

Web 攻撃の種類と対策

「うちみたいな小さなお店は狙われない」と思われがちですが、ホームページへの攻撃の多くは、プログラムが自動で、弱いところのあるサイトを手当たり次第に探して行っています。よくある攻撃のしくみと、ふだんからできる対策をまとめました。

公開日:2026年10月27日

今起きていること2026年10月、ホームページの多くで使われている PHP に、外から乗っ取られるおそれのある重大な弱点(php2shell)が見つかりました。WordPress などで運営している方は、「PHP の重大な脆弱性 php2shell をわかりやすく解説」をあわせてご確認ください。

小さなサイトも狙われる理由

よくある攻撃と対策

「危険度」は、お店や中小企業のホームページでの被害の起きやすさと大きさの目安です。

1. 弱点(脆弱性)を突く攻撃危険度:高

ソフトウェアの弱点(脆弱性)を突いて、サイトを書き換えたり、サーバーを乗っ取ったりする攻撃です。今回の PHP の件もこれにあたります。

狙われる所
WordPress などの CMS 本体、プラグイン、テーマ、PHP などのサーバーのソフト
被害
サイトの改ざん、情報の流出、サーバーの乗っ取り
対策
CMS・プラグイン・PHP を最新版に保つ。使っていないプラグインやテーマは削除する。サポートが終わった版を使い続けない。
ゼロデイ攻撃に注意修正版がまだ出ていない、または出たばかりの弱点を狙う攻撃を「ゼロデイ攻撃」と言います。今回の PHP の件でも、修正版の公開直後から攻撃の試みが観測されました。更新だけでは防ぎきれない期間があるので、WAF で入口を固める、バックアップを取っておく、使わない機能を止めておくといった「入られても被害を小さくする」備えもあわせて行いましょう。

2. 不正ログイン(パスワードリスト攻撃・総当たり攻撃)危険度:高

管理画面などのログインを乗っ取る攻撃です。いま特に多いのがパスワードリスト攻撃(リスト型攻撃)です。

  • パスワードリスト攻撃:ほかのサービスから漏れた「メールアドレスとパスワードの組み合わせ」の一覧を使い、別のサービスでも同じ組み合わせでログインできないか、機械で次々に試します。パスワードを使い回していると、どこか1か所から漏れただけで、ほかのサービスまで乗っ取られます。
  • 総当たり攻撃:123456 や password、店名+電話番号のような、ありがちなパスワードを大量に試します。
狙われる所
WordPress の管理画面、サーバー・ドメインの管理画面、メール
被害
サイトの書き換え、ドメインやサーバーの乗っ取り
対策
パスワードをサービスごとに変え、使い回さない。長く推測されにくいものにする。二段階認証を使う。管理者アカウントを必要な人だけにする。ログインの失敗が続いたら止める仕組みを入れる(正しいパスワードの決め方)。

3. SQL インジェクション危険度:高

お問い合わせや検索の入力欄に、データベースへの命令をまぎれ込ませて、保存されている情報を盗み出したり消したりする攻撃です(SQL インジェクション)。

狙われる所
会員・予約・ネットショップなど、データベースを使う機能
被害
顧客情報やパスワードの流出、データの消失
対策
作る側が、入力された文字を命令として扱わない作り方(プレースホルダ)にする。自社で機能を作る場合は、実績のある仕組み(フレームワーク)を使い、制作会社に対策を確認する。

4. クロスサイトスクリプティング(XSS)危険度:中

入力欄やコメント欄から、悪いプログラム(スクリプト)をページにまぎれ込ませ、見に来た人のブラウザで動かす攻撃です(XSS)。

狙われる所
コメント欄、口コミ、検索結果のページ、入力した内容を表示する画面
被害
見に来た人のログイン状態を盗まれる、偽の入力画面を出される
対策
作る側が、入力された内容を画面に出すときに、プログラムとして動かない形に変換する(エスケープ)。

5. CSRF(クロスサイトリクエストフォージェリ)危険度:中

管理画面にログインしたままの人に、罠のページを開かせて、本人が知らないうちに操作を実行させる攻撃です(CSRF)。たとえば、メールやSNSのリンクを開いただけで、自社サイトの設定を書き換えられたり、勝手に投稿されたりします。

狙われる所
管理画面、会員ページ、設定の変更やお知らせの投稿など「送信」を伴う機能
被害
設定の書き換え、管理者アカウントの追加、勝手な投稿・注文
対策
作る側が、本人の画面から送られた操作かを確かめる仕組み(トークン)を入れる。使う側は、管理画面での作業が終わったらログアウトする、管理画面にログインしたまま怪しいリンクを開かない。

6. フォームの悪用・迷惑な書き込み危険度:中

お問い合わせフォームに、プログラム(ボット)が宣伝や詐欺のメッセージを大量に送りつけます。フォームの作りによっては、迷惑メールの送信に使われることもあります。

被害
迷惑な問い合わせで本当の問い合わせが埋もれる、サーバーが迷惑メールの送信元にされる
対策
ロボットかどうかを見分ける仕組み(reCAPTCHA・Cloudflare Turnstile など)を入れる。Google フォームなど、対策済みの外部サービスを使う。

7. DDoS 攻撃(大量アクセス)危険度:中

たくさんの機械から一斉にアクセスして、サイトを表示できなくする攻撃です(DDoS 攻撃)。

被害
サイトが見られなくなる、サーバーの利用料が増える
対策
CDN(Cloudflare など)を通して配信する。CDN が大量のアクセスを受け止め、怪しい通信を止めてくれます。

8. 改ざん・不正なファイルの設置危険度:高

1〜3 の攻撃で入り込んだあと、ページを書き換えたり、詐欺ページやウイルスを置いたりします。見た目が変わらないように仕込まれることも多く、気づきにくいのが特徴です。

被害
見に来た人がウイルスに感染する、検索結果に「このサイトは危険」と表示される、Google の検索結果から外される
対策
定期的なバックアップ。Google Search Console の「セキュリティの問題」を確認する。知らないファイルやページが増えていないか、ときどき確認する。

9. なりすまし(偽サイト・偽メール)危険度:中

お店や会社を名乗った偽のメールや、そっくりの偽サイトで、お客様から情報やお金をだまし取ります。お店自体が攻撃されなくても、信用が傷つきます。

対策
メールの送信元を証明する設定(SPF・DKIM・DMARC)をする。サイトを https にする。ドメインの更新を忘れない(期限切れのドメインを他人に取られると、なりすましに使われます)。

10. 外部の部品を経由した攻撃危険度:中

サイトに組み込んでいるプラグインや、外部から読み込んでいるプログラム(広告・チャット・解析など)が乗っ取られ、そこから攻撃されることがあります。

対策
組み込む外部のサービスやプラグインは、必要なものだけにする。更新が止まっているものは使わない。
POINTWAF(Web アプリケーションファイアウォール)を使うと、よく知られた攻撃の多くを入口で止められます。ただし、ソフトウェアの更新の代わりにはならないので、両方を組み合わせましょう。

正しいパスワードの決め方

パスワードの定期変更は、原則として不要です

総務省は、パスワードを破られてアカウントが乗っ取られたり、サービス側から流出した事実がない場合について、次のように案内しています。

「パスワードを変更する必要はありません。」

出典:総務省「国民のためのサイバーセキュリティサイト」― 安全なパスワードの設定・管理(一部抜粋)

ただし、漏えいや乗っ取りの疑いがあるときは、すぐに変更してください。日頃は、長く推測されにくいパスワードをサービスごとに使い分け、二段階認証を設定することが大切です。

「パスワードは定期的に変えましょう」と言われてきましたが、今の考え方は違います。総務省の「国民のためのサイバーセキュリティサイト」では、流出した事実がなければ、パスワードを定期的に変える必要はないとしています。定期的に変えさせると、Shop2025 → Shop2026 のような規則的なパスワードになったり、覚えきれずに使い回したりして、かえって危険になるためです。大切なのは、変える頻度ではなく、サービスごとに違う、推測されにくいパスワードにすることです。

おすすめやめたほうがよい
使い方サービスごとに違うパスワードにする同じパスワードを複数のサービスで使い回す(パスワードリスト攻撃で一度に乗っ取られる)
作り方ある程度長い、ランダムな英数字の並び。ブラウザやスマホの「パスワードを自動で作る」機能を使う店名・電話番号・誕生日・123456・password など推測しやすいもの
覚える必要があるとき無関係な(文章にならない)単語をいくつかつなげ、間に数字を挟む(例:sora7kame42ringo のような形。例のものはそのまま使わないでください)短い単語1つに数字を足しただけのもの
変えるタイミング漏れた・乗っ取られた疑いがあるときは、すぐに変える決まった期間ごとに、規則的に少しだけ変える
守り方二段階認証をオンにする。パスワード管理アプリや、ブラウザのパスワード保存機能で管理する付せんに書いてパソコンに貼る、メールやチャットでそのまま送る
お店・会社で使うときのポイント管理画面のアカウントは、できれば担当者ごとに分けましょう。1つのアカウントをみんなで共有している場合は、担当者が辞めたり外部の業者との契約が終わったりしたときに、「漏れた可能性がある」と考えてパスワードを変えておくと安心です。

出典:安全なパスワードの設定・管理(総務省「国民のためのサイバーセキュリティサイト」)

ふだんからできる対策チェックリスト

頻度やること
すぐに管理画面のパスワードを、長く、ほかで使い回していないものにする(定期的に変える必要はありません)/二段階認証をオンにする/使っていない管理者アカウント・プラグインを削除する
毎月CMS・プラグイン・テーマの更新を確認する/バックアップが取れているか確認する
年に数回サーバーの PHP などのバージョンを確認する/Search Console の「セキュリティの問題」を確認する/お問い合わせフォームが正しく届くか試す
年に1回ドメインとサーバーの契約・支払い方法・登録メールアドレスを確認する(ドメインのよくある失敗)

被害にあったかもしれないときは

  1. 落ち着いて、記録を残す:いつ、何に気づいたか、画面のスクリーンショットを残します。
  2. パスワードを変える:管理画面・サーバー・ドメイン・メールのパスワードを、乗っ取られていない端末から変更します。
  3. 制作会社・サーバー会社に連絡する:原因の調査、改ざんされたファイルの復旧、バックアップからの復元を依頼します。
  4. 必要に応じて公開を止める:見に来た人に被害が出るおそれがあるときは、一時的にメンテナンス表示に切り替えます。
  5. お客様の情報が漏れた可能性があるとき:個人情報保護委員会への報告や、お客様へのお知らせが必要になることがあります。専門家に相談しましょう。

YKプランニングの作り方

YKプランニングでは、お店や会社の紹介サイトを、できるだけ攻撃される場所が少ない作りでご提案しています。

今のホームページの安全性、確認してみませんか。

更新の状況やサーバーの設定の確認から、作り直しのご相談まで、わかりやすくご説明します。